眼疾患は非常に多彩で、一見して同じような病変に見えるものであっても、その由来、原因、病理変化、処置などについては異なることが多く、診断・治療には専門的な知識が必要です。
どんな疾患についても言えることですが、まず飼い主さんが異常に気づいて獣医師に診察を求めることがなければ、いくら専門家であっても治療を施すことはできません。
普段から愛猫の目について意識して観察し、気になることがある場合には獣医師に相談してください。



<眼球周辺の主な器官>
●眼瞼(がんけん/まぶた)
●結膜(けつまく/まぶたの内側縁から角膜の縁に続く薄い膜。通常、猫では眼球結膜は非常に青白く見える)
●瞬膜(しゅんまく/第三眼瞼とも呼ばれる、目頭にある粘膜のヒダ。目頭から目尻方向に広がるが目を完全に覆うことはない)
●涙器(るいき/涙を生産する。眼球周囲に散在)
●眼球
角膜:かくまく、眼球表面を覆う膜、光の通る窓となっている
強膜:きょうまく、眼球表面の角膜以外の不透明な膜
瞳孔:どうこう、瞳のこと。猫ではスリット状に縦に収縮する
虹彩:こうさい、中央の孔を瞳孔とするドーナツ状の膜
●ぶどう膜:虹彩、毛様体、脈絡膜をまとめて総称する
猫の眼球は顔の正面に大きく突出しているため、眼球表面の異常に罹患しやすい特徴があります。また、上部気道感染を引き起こすウイルス感染(俗に言う「猫風邪」)による眼疾患がごく一般的に見られます。
「互いに対面して前肢を用いて攻撃する」という猫の攻撃方法の特徴から、鋭い爪による攻撃を目に受けることが少なくありません。外傷による眼球摘出というケースも多く、注意が必要です。
また、眼疾患には遺伝性を持つ疾患が数多く存在します。これらには多く品種による好発性が存在しますが、他品種および雑種に発生しないというわけではありません。
<遺伝が疑われる眼疾患の例>
●眼瞼無形成(ペルシャ)
●眼瞼内反・外反
●斜視、眼振(シャム)
●無眼球、単眼球、小眼球
●白内障(ペルシャ、ヒマラヤン、バーマン)
●緑内障(シャム、ペルシャ)
●進行性網膜萎縮(アビシニアン)
●皮膚白子(聴力の異常、夜盲症などを伴う)



<目の異常・家庭でのチェックポイント>

●まぶた、虹彩の縁部分に欠損・突出などがある
●目の表面に変色・斑・塊状構造物などがある
●目の内部(瞳の中)に変色・斑・塊状構造物などがある
●左右の瞳孔の大きさが違う・瞳孔が開いている(散瞳)
●涙が出ている
●瞬膜が出ている
●目の周囲の毛が変色している
●目の周囲の毛が抜けている
●目が乾いている(眼球表面のしわなど)
●粘性の液体が出ている
●眼球自体が大きい・左右の眼球の大きさが違う
●まぶたの痙攣

●まぶたを閉じている・半眼になる
●眩しがる、光を避けて暗いところを好む
●顔にさわられることを嫌う
●目をこする(顔を床などにこすりつける動作を含む)
●瞬きが増える・ウインクする
●ものを目で追わない
◎目の異常を見るときに・・・
正面からだけでなく横や斜めから見る
可能であればまぶたに隠れた部分も見ること
光源をあちこちに移動させたりして観察することが大事
瞳孔の開いている時に別光源を当てると目の内部が透けて見える
目にさわらせない猫は、おもちゃなどで視線をあちこちに移動させて観察すると良い
※無理に観察することで目を傷つけることがないように!!



目は脳神経と同じ発生由来であり、中枢神経に近いことから、神経疾患と眼異常が関連している場合があります。神経疾患に関連した眼異常の場合、見た目での異常が認められない場合が多くあります。
家庭でのチェックはもちろんのこと、異常がないように見えても、定期的に動物病院で眼検査を受けておくことが理想的です。
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【猫の健康管理の最新記事】
ご無沙汰しております。
うちのちゅうも最近目のトラブルで病院に行ったのです。
突然ボンッて腫れてしまって・・・
お薬で腫れはすぐに引いたんだけど、
今度は逆の目がちょっぴり前に飛び出てる気がして、
土曜日に眼科専門の病院に診察に行く予定になってます。
とっても心配・・・
そんなこんなで、この投稿記事とっても興味深く読ませていただきました!
猫のことだけど、ワンにも当てはまるのかな?
ちゅうさんはアレルギーがあるんですよね?今回の目の腫れは、かかりつけ先生の診断ではアレルギーってことで一段落したのでは。ばーちゃんアレルギーか・・・
ちゅうさんみたいな短頭種は、眼球をおさめる眼窩が浅くて眼瞼裂(上下のまぶたに囲まれた空隙:要するに目)が大きいので、眼球が飛び出やすいという構造的な特徴があります。なので今回のことは別としても、目には注意してあげた方がいいですね。
ちなみに犬編も近日アップしますよ〜(たぶん・・・)。